(2009/12/10)
誰もが抱える借金問題第4回目の今回は、生きていくうえで多くの人が抱える問題、借金についてお話していくことにする。自分の亡き後、家族が途方に暮れることのないよう、生前にしっかり対処していただきたいと思う。
ぜひ、こちらを読んで「修羅場回避」のために参考にしていただきたい。
CASE 4 「こんな人には遺言書が必要!」
死んでも死にきれない!?
-連帯保証債務があった場合‐
小さいながらも会社を経営するA氏には、妻と社会人になった長男と大学に通う長女がいる。人当たりがよく、面倒見もいいA氏は、周りからの人望が厚く、友人もたくさんいた。
そんなA氏が突然の不幸に見舞われたのは1年前である。あまりにも予期せぬことであったため、家族は大層動揺したが、相続の手続きを行い、すべてがやっと無事にすんだのである。
住宅ローンを完済していたA氏は、仕事上の借金もなく、身ぎれいにしていたため、手元に残った遺産1500万円のうち、妻が750万円相続し、残りを375万円ずつ子どもたちが相続したのである。
「さすがお父さん、家族に迷惑をかけるようなことはしなかったね」
「最後までお父さんに感謝だよ……」
家族みんなでA氏を偲びながらそんな話をしていたところ、一人の訪問者がやってきたのである。
「○×信用金庫です。Bさんという方が経営されていた会社が倒産しまして、3000万円の負債が出ました。つきましては、連帯保証人であるAさんにお支払いをお願い致します」
「Aは昨年亡くなりましたので……」
「それはご愁傷様です。それでは相続人の方にお支払いをお願いします」
A氏の妻と残された子どもたちは突然のことに驚き、どうしたらいいかわからず、とりあえず、その日は信用金庫の人に帰ってもらったのである。
「連帯保証人になっていたなんて、生前、夫からまったく聞いていない」
確かに夫はみんなから慕われていたが、B氏という名前など一度も聞いたことがなかった妻。面倒見がよかった夫のことから、きっと泣きついてきた人に断りきれなくて連帯保証人になってしまったんだと、思うほかなかった。
それにしても、相続の手続きも終わったというのに、本当に相続人である妻や子どもたちが支払わなくてはいけないのだろうか?
家族は先ほどまでのA氏への感謝も消え去り、途方にくれてしまったのである。
さて、A氏は生前どのような対策をしておけばよかったのだろうか。
そして、A氏の妻と子どもたちは本当に債務を負わなくてはならないのだろうか?
解決編
相続は、預貯金などのプラスの財産はもちろん、借金や家のローンなど、マイナスのものも引き継がれる。
本人が銀行から借入れしたお金などは相続発生時に金額が確認できるため、それを考慮したうえで相続するか放棄するかを決めることができるが、もっとも面倒なのが連帯保証人になった場合の債務である。
連帯保証人は、債務者がきちんと返済しているときはなにも請求されることがないため、本人の死後、しばらく経ってから、突然請求書が送られてきて、残された家族がびっくりしてしまうということが多くある。
また、連帯保証人になったことがあっても、あまりに昔のことで本人が覚えていない場合も多い。連帯保証債務設定契約書なるものは、主債務者が持っていて、連帯保証人自身の手許に残っていないのである。
このため、本人が家族に「連帯保証人になった」ということを伝えていなければ、家族はその事実を知ることはなく、相続手続きが終わったある日突然、本人に債務があったことを知るということにもなりかねない。
そうなると、何も知らずに遺産を相続してしまった家族は、債務と遅延損害金を含めた莫大な借金を背負うことになるのである。
確かに、相続放棄という手段もある。相続放棄は、故人が亡くなって3ヶ月以内に家庭裁判所に届けなければならない。 ただし、3ヶ月以上が経っていても、債務があることを知らなかったこと、知ったのは後日であることを立証できれば、相続放棄を認められる可能性はある。
今回のような場合は、ただし書き以下の条件に当てはまるかもしれない。 しかし、一度相続した故人の思い出が詰まったものを手放すという判断は、思い入れがありなかなかできるものではない。
そんな苦渋の決断を愛する家族にさせないためにも、生前に遺言書で負の財産を明記し、返済方法も指示しておくとよいだろう。
☆ ここがポイント
・借金や家のローン、知人の連帯保証人になったことがあるなどは、死後のトラブルに繋がる可能性があるので、自分の財産はこまめに見直すことが重要。
●最終回である次号は、「遺言書で回避<5> 独身で身寄りがない場合」をお送りします。
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