ビジネス帝王学

(2009/08/24)
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今の時代だからこそ必要な「プレゼン力」


仕事のできる人とそうでない人との差、それは「プレゼンテーション力」ではないでしょうか。

経営者となれば、全社員の前で話をする機会も多く、その内容が社員のモチベーションアップ、ひょっとしたらダウンにつながることもしばしあります。

たとえば、米国コンピュータ・アソシエイツ社で、前会長からトップを引き継いだサンジェイ・クマー氏が行った優れたプレゼンテーションが評判です。2時間以上、カンペを一切見ず、1を聞かれれば10を歯切れよく答えるサービス旺盛なプレゼンで、スタッフの間にもそのパワフルな精神力を波及、結果、彼らのモチベーションを大いに上げました。

このようにトップが変われば、そしてそのトップにプレゼン力があれば、それだけで社員をやる気にさせ、業績を上向かせることができるのです。

グローバル化した現代は、“古きよき時代”と言われた一昔前とは明らかに違います。昔なら、競争相手は主に国内企業でしたが、今は世界中のライバルと競わなければならなくなりました。

「いい商品」「いい研究」なら必ず認めてもらえる、昔ならそうだったかもしれませんが、現代社会では、競争相手は世界中に増え、その商品や研究内容といったものすべてを把握するのはほぼ不可能といっても過言ではないのです。

すでに出来上がった商品を見て消費者が判断し購入する時代から、製作途中のものを「これは将来必要となるものだろう、価値が上がるだろう」という判断のもとに購入する時代になったと言えます。

そんな時代だからこそ、社会に出てライバルより一歩先に行くために、伝えたいことを相手に的確に表現する「プレゼン力」が必要なのです。

とはいえ、「プレゼン力」は一夜にして身につかず。

大人になってからいざ身につけようとしても、はじめのうちは企画書を読むだけのプレゼンになりがちで、人の心をグッと掴むような内容を展開できるようになるには相応の場数が必要となります。

社会人になり、忙しい仕事の合間を縫って本当の「プレゼン力」を身につけることは、とても大変なことであるのは読者の皆さまならご存じのはずです。

つまり、子どものうちに身につけてしまえば、これほど楽なことはありませんね。

家庭でできる「プレゼン力」習得法


米国など欧米では、ジュニアハイスクール(中学校)のときから「発表」を基本とした授業形態が主流です。子どもたちは、自然にプレゼン力を磨くことができるため、社会人になってからも気負うことなく人前で話すことが容易になるわけです。

早期からプレゼン力を身につけることが、真の“プレゼン上手”につながります。そこで、家庭ではどのようにしたら「プレゼン力」を身につけさせることができるのか?

とっても簡単なことです。

夫婦で会話をすることです

「え?そんなこと?」「子どもには何もしなくていいの?」と思われるかもしれませんが、一番の基本はご両親が二人で楽しく会話している姿を子どもに見せることなのです

そして、公園や外に遊びに行ったときには、初対面の人と積極的に楽しく会話をしてください

両親が楽しそうに会話している姿や初対面の人とも臆することなく会話をする姿を見ることで、子どもは「話すことはとっても楽しいことなんだな。だって、お父さんとお母さんはいつもお話しするときは楽しそうにしているもん」と思い、自分からいろいろなことを話すようになります。

これは、まだ話すことが出来ない赤ちゃんに対しても同じことです。

夫婦が会話をして聞かせ、そして赤ちゃんにもどんどん話しかけてください。

幼稚園にお子さんが通うようになれば、「その日、園で何をしてきたか」「何が楽しかったか」などを聞いてあげてください。

最初はつたなく、的を得ない話をしていた子どもも、毎日「誰と、何をしたか」「どう思ったか」を親から質問して引き出すようにしてあげれば、人に話をすることに慣れ、「いつ、どこで、誰と、なにをしたか」ということを上手に伝えることができるようになります。

これが、プレゼン力向上へと繋がっていくのです。

友達に「ミニプレゼン」をしよう


●プレゼン力向上のイロハ

1.両親がお互いに、また、初対面の人とも楽しく会話をし、その姿を子どもに見せる。

2.子どもに語りかけ、話を引き出す。

3.子どもの話をちゃんと聞く。

1―3の段階を経て子どもに接すれば、自然と、「話をする力」が身についてきます。

そしてお子さんが小学校に入り、学年を重ねれば「僕は夏休みに●●に行くんだ」とか「私は□□に行きたい」という会話を友達同士でするようになります。

そのときに友達同士で「ミニプレゼン」を行うといいでしょう。

たとえば……

A君はディズニーランドに行ったことがあります。友達のB君が夏休みに初めてディズニーランドに行くことになりました。そこでA君がB君に「ミニプレゼン」をしてみましょう。

どのアトラクションを自分が乗ってきて、「どれが一番楽しかったか」「どういう順番で廻るのが効率よく乗れて、どこで休憩するのがオススメ」なのか、そして、「どれくらい時間がかかるのか」などをB君にプレゼンするのです。

A君のプレゼン次第で、B君はディズニーランドへ行くことがさらに楽しみになるかもしれません。

A君、B君二人とも行ったことがある遊園地があるなら、それを引き合いに出して、「その遊園地よりこういうところがディズニーランドはさらにいいよ」といったことを伝えてあげれば、もっとわかりやすくなるはずです。

友達同士で気兼ねなく、会話の延長線上から「プレゼン」を始めてみましょう。

そして、慣れてきたら学級委員や生徒会などに立候補して、人前で話す機会を増やすようにしてください。

場慣れすれば緊張もしなくなり、こうなればしめたものです。今度は人前で話すことが楽しくなってきます。きっと、周りの様子を見ながら話す余裕も生まれ、適所にユーモアなどを交えて話すことができるようになるでしょう。

「Teach」ではなく「Educate」を


子どもの能力を伸ばすためにいろいろな書籍や参考書といったもの探してきては、彼らに読ませて習得させようとする親御さんがいらっしゃいます。

テキストや参考書を使って教える方法は「Teach」と呼ばれるもので、ここでの「プレゼン力」習得には適した方法とは言えません。

「プレゼン力」の基本は人との対話。

テキストなどの本からいくらテクニックを文字で覚えこんでも、実際に話さなくては意味がありませんよね。

この場合には対話を中心とした「Educate」で能力を伸ばしてあげてください。

「Teach」が一概に悪いとはいいません。ですが、日本人が国際社会においてプレゼン力が低いといわれている理由は、日本の学校での授業が「Educate」ではなく「Teach」だからではないでしょうか?

日本では先生が教科書を使って授業を進め、テストでは用意された問題に答案を書いて提出します。

一方諸外国では、先生と生徒が会話をしながら授業をし、事あるごとに教室の前で一人ずつ、もしくはグループになって発表をする形をとっています。

小さいうちから人前で話す経験をたくさんこなしているのですから、当然人前で話すことに臆することはありません。

数をこなしていれば場慣れもし、気持ちに余裕もあるわけですから、今度はいかに聴衆を楽しませるか、そしていかに自分の考えをうまく聴衆に印象づけるかを考えて話すこともできるようになります。この経験の差(場数の差)が「プレゼン力」を発揮するところで如実に現れるのです。

進学塾を選ぶ際に、「どこの学校に何名合格の実績がある」ということを判断基準にすることが多いかと思いますが、それだけではなく、プラスアルファで「発表形式がある」ということなども見て選ばれると、お受験だけではなく人間力向上の一つとして「プレゼン力」も習得できるので、お勧めしたいと思います。

最後に


今これを読まれている方は、仕事で責任も多く、忙しくされている方がほとんどでしょう。働き盛りのビジネスマンの方々からは「夫婦で会話をしている姿を見せるような時間に家になかなか帰れない」というお声が聞こえてきそうですが、時間を作るように努力してください。

時間は作り出すものです。

どんなに忙しくても、食事をする時間、寝る時間はあるはずです。忙しい中で時間をやり繰りしながら、子どもとの時間をできるだけ作るようにしてください。その一つの時間から子どもの能力をグッと向上させることができるのですから。

●次回は経営者への更なるステップとして「リーダーシップ力」についてお話します。お楽しみに。

筆者紹介

安田 龍男 Tatsuo Yasuda
財界二世育成学院 志高会(本部:東京)理事長。エグゼクティブエデュケーター。事業承継において最も重要な後継者育成を目的とした組織。0歳児教育から大学受験指導までを担う「名古屋セミナーグループ」(本部:名古屋)を 経営。教育の実践者であり指導者として、数多くの現場指導・講演を手がけている。
http://www.shikokai.com/

『わが子を経営者に育てる17の極意』 (安田龍男著)

 

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