(2009/10/24)
長く待ちすぎるより早すぎる行動に価値がある
見出しの言葉は、米・ゼネラル・エレクトリック社(GE)の元会長である、ジャック・ウェルチ氏の言葉です。
昨年9月15日のリーマンショック以降、日本国内でも他社の動きや様子をうかがい、目立った動きをする企業はほとんどありません。
企業の倒産や失業率のアップなど、世の中を暗くする要素はたくさんあるここ1年ですが、こんなときだからこそ、あえて積極性がモノを言う時代なのです。
以前は、経営者に必要な能力として、「どんなときも冷静沈着であり、よく考え、石橋を叩いて渡るくらい慎重な人柄」が多く求められていました。もちろん、今でもこれらの要素が必要なことに変わりありません。
しかし、現代は世界がインターネットで繋がり、日本の裏側で起こっていることもすぐにわかります。また、流れる情報の多さゆえ、「速報」も、出た瞬間に過去のものになってしまう時代です。 そんな時代の中で会社を経営していくためには、以前のように「ゆっくり熟考し、本当にうまくいくプランなのかどうかを、データを集めて検証する」をしていては、他社に出し抜かれてしまうことも、ままあることでしょう。
「せっかちに行動してしまっては、うまくいくものもうまくいかない」と言われることがあります。 たしかに、「せっかち」という概念どおり、「時間だけをただ焦り、惜しむ」というような勇み足をしてしまってはいけませんが、表面的なことではなく、「分析、決断、実行」を兼ね備えた人間力あっての「積極性」であれば、意味のない失敗をすることはありません。人間力があっての行動であれば、失敗の原因を分析し、また行動することができるからです。
いつ何が起こるかわからない不安定な世の中だからこそ、的確に自社の状態を分析し、世の中の流れが変わってしまう前に積極的に動く、つまり、「石橋を叩いて走って渡る」を実行していただきたいものです。
積極性と自主性の違い
ここまで「積極性」という言葉を使ってきましたが、よく「自主性」とどう違うのかというご質問を受けることがあるので、簡単にご説明したいと思います。
「積極性」とは、「目的意識があり、それに対して自ら行動を起こすこと」を、「自主性」とは、「自分で判断し、自由に行動すること」を表します。
学習塾などで毎日宿題が出されるのは、この「積極性」を育ませるためでもあります。
宿題という目的を、毎日コンスタントにこなす習慣をつけさせることで、達成感を味わわせ、 自ら勉強をする姿勢を作り出すのです。ですから、家庭で「積極性」を子どもに育ませたいのであれば、何か目的や課題を与えて、それに向かって取り組ませるようにしてあげてください。
たとえば、お子さんが欲しがっているオモチャがあるとします。そんな時、両親が買ってあげるのではなくて、「お小遣いを貯めて自分で買ってみようね」とうながして、自分で努力して買わせるとよいでしょう。そして、お子さんが自分で貯金して買うことができたら、「よく頑張って貯めて買ったね」と褒めてあげてください。
そうすると、お子さんは「欲しいものを買う」という目標に向かって自分なりに計画して貯金し、その努力の結果、欲しいものを買うことができたら、目標達成と同時にご両親に褒めてもらえる、という達成快感を得るうえ、「目標に向かって頑張ると、こんなにうれしい気持ちになれるんだ」と思うようになります。また、お休みのときや旅行では、お子さんと一緒に山登りなどをすると大変良いでしょう。
目の前に続く山道を、山頂という目標に向かって一歩一歩進ませ、山頂に到達することで、「自分で頑張ればこんなこともできるんだ」と子どもに達成感を与えることができます。
このように、「目的意識を持つ→行動する→達成する→褒められる」という一連の流れで、子どもは達成感を味わい、それが積極性へと繋がっていくのです。
お子さんが心配になり、つい、あれやこれやと世話を焼いてしまいがちな方もいらっしゃるでしょうが、大きな怪我や事故がないよう肝心な点だけを見守り、あとはお子さんが目標に向かって頑張っている姿を見守る。そして、お子さんがその目標を達成することができたら、大いに褒めてあげる。それにより、お子さんは積極的に物事に取り組むことができるようになるでしょう。
体力に自信を持たせる
経営者として必要な、「積極性」を養う前に、基礎として身に付けて欲しいこと、それは子どもに「体力」を付けさせることです。「わが家では体操教室に通わせているから、体力や運動能力は大丈夫」と、安心されてる方もいるかもしれません。しかし、ここでは体育館など自然の環境から離れたところで運動させるのではなく、外で元気に走り回らせて遊ばせることをお勧めしたいと思います。
新型インフルエンザなど、猛威をふるっている菌はあるものの、「無菌状態」への過剰な反応はかえって子どもにはよくありません。冬の寒い時でも、過保護に暖房のよく効いた家の中ではなく、「子供は風の子」と言われるように元気に外で遊ばせましょう。
そうすれば、子どもたちも多少の環境の変化には強くなり、精神的にもたくましく育ちます。また、自然の動植物に、自ら興味を持つようになり、新しいお友達にも興味を持ち始めることになるでしょう。自ら興味を持つ=その対象物について自ら調べたり、自ら近寄っていく。これが、積極性へと繋がっていくのです。そして、体力に自信があれば、子どもも活発に動き回るようになり、積極的に物事に取り組む姿勢が生まれるのです。
また、家庭での食事にも、ぜひ気を遣っていただきたいです。日本健康科学学会の「子供と健康」の調査によると、「規則正しい食事に気を付け、楽しい食事に関心を持つ保護者の下で育っている子どもは、味覚や心理に良い影響を受け、精神的な活発さや積極性を持つ」という結果が導き出されています。このように、団らんの象徴である食卓をいかに充実したものにするかによって、子どもの積極性に大いに影響を与えるのです。
両親ともに仕事をかかえ、外食が多い家庭も多いかとは思いますが、ぜひ週の半分は家族団らんで、バランスのよい手作りの食事を心がけてください。そして、その食事の際にも、「今日は学校でどうだった?」というふうにお子さんに話しかけ、楽しく会話することを心がけていただければ、お子さんも、のびのびと成長することができ、より積極的に行動できるでしょう。
●次回は経営者への更なるステップとして「観察力」についてお話します。お楽しみに。
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安田 龍男 Tatsuo Yasuda


