ビジネス帝王学

(2009/09/24)
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無欲になっていく子どもたちの現状

「ゆとり教育」がもたらした“競争をよしとしない風潮”が原因で、近年、いわゆるハングリー精神に欠けているお子さんを多く見かけます。

運動会でのかけっこや試験での成績などに順位をつけない学校が増え、あらゆる方面から「最近は自分から動かない人間力の弱い子どもが多い」と耳にします。

毎年、ある保険会社が実施する「子どもが将来なりたい職業」という調査では、「野球選手」や「パティシエ」など、夢のある職業が上位を占めます。子どもたちが描く「将来への夢・憧れ」は、昔も今も変わることはありません。しかし、最近の傾向として、大学生くらいになるにつれ、彼らからは「普通に暮らせればいい」といった“無欲な答え”が多く登場すると言います。

これは、「順位をつけない」「みんな同じ」のゆとり教育の精神が起因しているのではないかと思います。

アメリカが「アジアの第一国」として日本を重視していた時代は終わり、中国重視に変わっています。国際社会で生き抜いていくためには、力強く生きていかなければ、日本も、自分自身も取り残されてしまう時代となってしまいました。

今後の日本を背負っていく子ども達が、ハングリー精神を持って積極的に動けるようになり、その結果、国際社会でリーダーシップを発揮できる人間に成長していくためには、幼少期からリーダーシップ力を身につけていく必要があるのです。

今求められるリーダー像

先月行われた総選挙は、長年与党として君臨していた自民党が敗れ、民主党へ政権が引き継がれるという歴史的なものになりました。

いま、時代は変革期を迎えています。

そんな変革期に求められるリーダー像は、伊藤博文や大久保利通など、明治維新で活躍したような、“日本のため・人のために奔走し、積極的に動けるリーダー”でしょう。

「カリスマ」という言葉が定着していますが、伊藤博文や大久保利通などはカリスマそのものだったのではないでしょうか?

これまで、世間は「カリスマ性」に惹かれ、「彼らに任せれば大丈夫」「彼らがやってくれる」と信じて一つになり、激動の時代を乗り切ってきたのだと思います。

そんな明治時代と同じ変革期を迎えている現代ですが、明治時代と違う点は、みんなが平均的な学力を持ち、豊富な情報を抱えている点です。

確かにカリスマ性を持ったリーダーは必要ではありますが、日本をどうにかしたいと立ち上がった人たちだけに国作りを任せていた時代とは違い、一人ひとりが意見を持ち、知識もある現在に、カリスマ性だけでついていく人は少ないでしょう。

以前、「カリスマバイヤー」と呼ばれる方が、能力を買われて大手流通会社に引き抜かれたことがありました。

カリスマとして奔走する行動力溢れる方でしたが、一人ではなかなか大きな組織をまとめることは難しかったようです。結局は孤軍奮闘で疲れ果ててしまい、体調不良でリタイアすることとなってしまいました。

そういった意味で、現代では明治維新に活躍した伊藤や大久保のような、偉人のように積極的に周りを巻き込んで、一人よがりにならないリーダー像が求められます。

「こうしなさい」「ああしなさい」と指示をするリーダーではなく、部下となる人に自らを考えさせ、「自分なりの答え」を引き出させる。結果、部下自らが積極的に動くようになり、事業を動かすことができるのでしょう。

現代のリーダーは、目標を示し、そしてなぜそれを実行するのかを説明することが大切だと思います。そして、どうやってそれを実行するか、どこで誰と行うかなどは本人たちに任せ、随時報告を受けるようなリーダーシップを発揮するのが望ましいと思われます。

家庭で身につける「リーダーシップ力」

リーダーシップ力を幼少から身に付けるためにまず大切なことは、「コミュニケーション力」を身に付けることから始めます。

知らない子とも臆することなく一緒に遊ぶことができ、相手の様子を見ながら話すことが出来るようにならなければ、大人になり部下を持つ身になっても、その部下の様子を敏感に見て取り、的確な指示を出すことができないからです。

そのためには、前回もお話しましたが、ご両親も知らない方と臆することなくお話しする姿を子どもたちに見せるようにしていただくと、大変よいでしょう。両親の積極的な姿を見ることで、子どもたちは初対面の友達に興味を覚え、そして安心して話しが出来るようになるのです。

もう一つは歴史上の偉人の伝記を読ませることを勧めてください。

これには二つの意味があります。

一つは、国語力を鍛えるためです。

最近の子どもたちは読書量が絶対的に少ないため、国語力が低下している傾向にあります。コミュニケーションを取る際、相手が発する言葉一つからその人の知性が分かります。また、相手の心情を敏感に察するには、言葉を理解するための国語力が高いに越したことはありません。

そしてもう一つの意味は、歴史上の偉人から「リーダーとはこういうものなんだ」というイメージを具体的に持たせ、「こういう人になりたいな」という目標を設定させるためです。

ここではまず、先ほどもお話しした伊藤博文、大久保利通、高橋是清などの日本の偉人が取り上げられた本を読んだり、調べたりすることをご提案します。

3名とも、非常に厳しい環境の中で苦労して勉強し、そして国を代表するリーダーとなった人たちです。決して恵まれた環境にいたわけではないのに、努力すればこんな凄い人たちのようになれるんだということを、ぜひとも感受性豊かな子どものうちに知ってほしいと思います。

言葉で「リーダシップとはこういうものなんだよ」と伝えるよりは、やはり実在した人物から学ぶことにより、さらに具体的に憧れを抱くことができます。その結果、子どもたちはその人物に近づけるように努力するはずです。

ご家庭でいろんな本を読むことはとても大切なことです。なかでも、「リーダーシップ力」という点に特化されたいのであれば、伝記本をお勧めします。そして、ご両親も同じ本を読んで、子どもと一緒に感想を話し合えると、彼らのやる気は一層高まるでしょう。

「習うより、慣れろ」の精神で

小学校の高学年・中学生ともなれば、生徒会の役員やクラスの代表や、みんなのまとめ役となるよう導いてあげるのもよいと思います。

「リーダーシップ力」は「習うより、慣れろ」であり、環境により養われる能力の一つです。勉強ができるから必ずしもよいリーダーになれるわけではなく、「立場」が人を育てるのだと思います。

ただ、学校では学級委員やクラブの部長の数に限りがあるもの。みんながみんな、そのような役に就くことはできません。

たとえ学級委員になることができなくても、担任の先生、教育機関によっては「リーダーシップ力」を高めることは十分可能です。

先の伊藤博文も「吉田松陰の松下村塾に学び、いい師、いい塾に出会えた」と語っています。このように教育機関の出会いで人生が変わることもあります。 ぜひ、進学だけに重きを置くような塾ではなく、人間力を高める教育をしてくれるような教育機関をご両親で選んであげるようにしてください。それが、子どもの真の成長に、“いい影響”を与えてくれるはずですから。

●次回は経営者への更なるステップとして「積極性」についてお話します。お楽しみに。

筆者紹介

安田 龍男 Tatsuo Yasuda
財界二世育成学院 志高会(本部:東京)理事長。エグゼクティブエデュケーター。事業承継において最も重要な後継者育成を目的とした組織。0歳児教育から大学受験指導までを担う「名古屋セミナーグループ」(本部:名古屋)を 経営。教育の実践者であり指導者として、数多くの現場指導・講演を手がけている。
http://www.shikokai.com/

『わが子を経営者に育てる17の極意』 (安田龍男著)

 

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