bookコンシェルジュ

(2009/12/10)
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年明けの出社がラクになる!?
ホリディシーズンに読みたい2作


12月に入り、忘年会シーズンに突入した。子供のころ、いや、会社員になりたての20代のころも、何が楽しくて年末に酒を飲むのかがよくわからなかった。新入社員のころは、上司の都合だけで社内の忘年会の予定が決まったりするのも許せなかった。飲み会が嫌いだったわけじゃない。普段から本当に忙しい部署だったので、年末の忙しいときに上司や先輩に気を遣ってまで酒を飲む暇があるなら、その時間をもっと有効に使いたかっただけだ。楽しくない飲み会ほど無駄なものはない。

「今年もお疲れ様でした」なんて言われながら、腹の中では「疲れているってわかっているなら休ませろ」。なんて本気で思っていた。面倒なヤツだったんだな。年を経て、今は何となく当時の上司たちの気持ちがわかるような気もする。

出版不況で回数こそ減ったが、それでもいくつかの忘年会には顔を出す。安い飲み屋で焼酎を飲みながら、「あの小説は面白い」とか、「こんなPOPを付けたら売れた」とか、書店員さんたちのそんな話を聞いているとなんだか元気になってくる。まだまだこの業界、やれるじゃん。仕事だから大変なことも多いけれど、酒を飲んでる間はちょっとだけ横に置いておこう。どうせまた明日から仕事がふってくる。

仕事を楽しむための“超整理術”


まずは年末に「いやぁ、もうバタバタしちゃって」と言っている人に勧める。その「バタバタ」は、自分の無能さをさらけ出しているだけかもしれないからだ。

『整理HACKS! 1分でスッキリする整理のコツと習慣』(小山龍介) 。新規事業の立ち上げのコンサルティングをしながら、整理術、仕事術などのセミナーなども行う著者の整理術についての名著。旧態依然の考え方で働いている人には目からウロコだろう。

「クリエイティブな仕事があるのではない、仕事をクリエイティブにやるかどうかが重要だ」がモットーの著者による、仕事を楽しむための1冊だ。

例えば、誰にでもあると思うが、いざと言うときに大切な書類が見つからないというケース。見つからない理由は書類が多いからだ。パソコンに元のデータがあるプリントアウトをまずすべて捨てるだけで、かなり改善される。習慣でなんとなく持っているのではなく、「PCにデータとして残っている書類を、紙で持つのは無駄」という認識を徹底させるのだ。書類探しという無駄な時間を徹底的に削っていくのだ。

とにかく「プリントアウトは容赦なく捨てる」という考えを頭に叩き込む。メールアプリを使って打ち合わせ資料を共有・保管するのも鉄則だ。そのアプリは、データを持ち運ばなくてもネットにつながる環境だけあれば会社のPC、携帯、自宅のPCなどすべてでアクセスできることと、検索機能が優れているという点から、著者はGmailを推奨している。さらウェブサービスのSugarSyncの利用も勧める。

通常は1台のPCに保管したままのデジタルデータを自動的にサーバーに保管し、そこへ別のPCからでもアクセスできるような機能だ。どこでも仕事ができるので、移動時間なども有効に使えてくる。もちろん、紙の書類やメモが全部いらなくなるわけではない。書類はクリアホルダーを使って時系列で管理する。メモも100円ノートに時系列で書き込んで情報を集約する。「あれぇ、どこに書いたっけなあ」という経験は誰にもあるはずだ。

ちなみに自分は初めて知ったので驚いたのだが、外出先でプリントアウトが必要になったら、セブンイレブンでプリントアウトできるサービスなども紹介されている。ほかにも出張や外回りなどの際に荷物を減らすために「充電はすべてUSBケーブル経由で行う」「1年経ったら名刺は捨てる」といったアイデアから「二次会に参加しないで済むテクニック」「テレビは録画して1.5倍速で見る」といった小技まで紹介されている。

紹介されている手法の中から可能なものだけを受け入れればいいだろう。ちょっとした工夫で仕事がサクサク進むようになれば、その分時間に余裕もでるだろう。「もう、バッタバタで……」と言っている自分を恥ずかしいと思ったほうがいい。

トップビジネスパーソンに学ぶ成功論


そして、文庫化されたのを機にぜひビジネスマンに読んでほしい1冊が『「成功のコンセプト』(三木谷浩史)

わずか10年で楽天を流通総額1兆円に急成長させた創業者が常に掲げていたコンセプトや考え方を自ら説明、解説している。第1に掲げるのは「常に改善、常に前進」というコンセプト。創業当時、楽天に出店してくれたのはたった5店舗だった。いまの楽天からは想像もつかないだろうが、かなり絶望的だと思ったはずだ。だが三木谷氏は「5店舗も集まった。これはすごいことだ」と考えた。意味も無く楽観視したわけではない。そこには彼の「改善」への明確なコンセプトがあった。「ゼロは何倍してもゼロ。1でも2でも数字があれば改善してそれを増やすことができる」と。

小さな改善をすれば、必ず次の改善ポイントが見えてくる。それを改善すれば、また次の改善ポイントが見えてくる……。たった1%の改善を毎日、1年間続けたとする。すると計算上では37倍になるのだ。ほんのわずかな改善でも日々怠らずに続けるというアプローチで現状に対峙してきたから、今の成功がある。

そして改善と同様に重要視しているのが「自分を否定する勇気」。慣れや愛情だけで仕事を進めていては成長も進歩もない。本当にその方法論が効率的なのか、必要なのか。いつも考えることが必要だと訴える。特に仕事が順調に進んでいるときこそ意識して考えたほうがいいとも。順調であるということは、自分のやり方が間違っていない、自分が正しいということだ。にもかかわらず、自分を否定してまで改善する必要があるのかと思う方が自然だが、その思い込みこそ成長を阻害している可能性があると思わなければならない。

新人や若手の意見に「ウチ(俺)はずっとこうやってきたから」と言ったことのある人は猛省してほしい。その一言で、その新人と会社と自分の成長の芽を摘んでしまったのだ。改善と自己否定、これを繰り返しながら進んでいくにしてもその先に「適切な目標」がなければ意味はない。そこで著者は、初の人類月面到着を成功させたケネディ大統領を例にひく。

「月」は確かに遠かったが、攻略不可能な目標でもなかった。全員が全員、100%の力を出し切って努力すれば達成できる絶妙な目標が月だった。明確な目標を掲げられないと努力のしようがない。今の三木谷氏にとっての「月」とは果たして何なのか……は本書を読んでほしい。

ほかにも、仕事に取り組むにあたっての考え方、顧客優先の徹底など、シンプルだが重要なことが詰まった1冊だ。ここにあるのは成功者の思い出話ではない。発展途上でガムシャラに疾走しているビジネスマンの鼓動が伝わってくる。楽天はネット業界だから、IT企業だからウチとは状況が違うと思う人もいるかもしれない。そういう人こそまず読んでほしい。自分の石頭を殴られる感覚を味わえるはずだ。

間もなく年末年始の休みに入る。どうやって過ごすのかは自由だが、もし余裕があるなら上記の2冊を読んでみてはいかがだろうか。仕事への心がまえと仕事術、これを読んでおくだけでも年明けの出社がラクになるはずだ。そんな力を持った本だ。

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