勝つFXのススメ


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読者諸氏は、もうすでにFX取引に馴染みが深いと思うが、5、6年前までは、FX取引と言えば数十万円から数百万円を使って10万ドル(約1000万円相当)や100万ドル(約1億円相当)の取引を行う、ちょっと敷居の高いものであった。それが今では、数千円から数万円ほどで1万ドル(約100万円相当)の取引を可能にするうえ、気軽にオンラインゲーム感覚で行えると評判を呼び、私たちの生活に身近な投資と化している。ゲームやカジノがお好きな方にとって、何より興味深い取引ではなかろうか?

FX取引の特長である投機性とその醍醐味から、若年層を中心に市場が広がってきているのだ。前号で紹介したように、この度行われたFX業界全体に対する規制強化は、一部のFX企業には大きな制約となるが、 投資家の立場からすると、2つの判断を求められる ことになりそうだ。

1つめは、「長期的に付き合っていけるFX企業を選別すること」である。

FX取引が個人を中心とする一般投資家への「金融商品」として認められたことから、投資家の資産全額保全の義務化、レバレッジ規制(2010年に最大50倍、2011年に最大25倍へ)など、投資家にやさしい市場を提供するための規制強化に深く関係している。(前号(連載第2回)参照)。現在は過当な投機性をあおる不健全な市場が健全化する良い時期といえる。

規制に対応できないFX企業は1年以内に淘汰されていくことだろう。店頭取引のFX企業は早期に規制に対応することを求められているほか、本規制によって商品性の差別化が制約されるため、投資家のニーズにあった付加サービスの拡充をどこまで展開できるかに彼らの存続がかかっている。

企業ごとに取引条件、取引画面、注文方法、カスタマーデスクの利用条件などそれぞれがより個性的になれば、投資家にとっては、自分好みのFXパートナーを選択する際、どのサービスに重点を置いていくかの判断をしなくてはならない。

“資産保全やレバレッジなどの法的規制をクリアしているFX企業”というのは最低条件だ。また、「取引画面に馴れてしまった」「この注文方法が便利だ」「この担当者とならうまくやっていけそう」と感じているのであれば、無理にFX企業を変える必要はない。取引中の、または取引を始めようと考えている企業が、まだレバレッジ規制対応前であれば、いつから規制に沿った条件に変化していくのかを、彼らに直接確認することも忘れてはならないだろう。自分に合った企業は必ず見つかるはずである。

投資家にとって重要な2つめの判断は、「投資方法」だ。

これまでは、ゲーム感覚で数百倍のレバレッジをかけて100万ドル(約1億円相当)単位の売買を数銭刻みで利益を確定していく、いわゆる「スキャルピング」という超短期薄利売買が主流であった。

50万円の証拠金で200倍のレバレッジをかけ、100万ドルを売買し、5銭の利益を確定させて5万円を儲ける。

この繰り返しがうまくいけば、あっという間に10万円、50万円の儲けにつながる。元手50万円で実現するのである。おいしい話のように思えるが、現実的にいえば、プロの為替ディーラーでもここまでうまくやれる人は少ない。“情報戦”では、個人投資家よりも圧倒的に有利な立場であるにもかかわらずだ。

もちろん、個人投資家でもこの短期売買で勝つことは可能である。しかし、「勝ち続けられる」ことは稀なのだ。これまで為替以外の金融商品も含めて20年近く投資家の売買を見てきたが、残念ながら、それが事実である。

ここで考え方を変えたい。 「勝ち続けられる投資家」になるためには、自身の変革が重要なのだ。短期投資は身を滅ぼす。「過当な投機性を助長する過度なレバレッジ」が短期投資の元凶である。

感情に捉われることなく安定した利益収入を得る

今回のレバレッジ規制は、この過当な投機性に焦点を当てた。レバレッジが下げられることにより、小額の資金で多額の利益を出す、または多額の損失を出すことが抑制された。もし超短期売買を行えば、(先の例で言えば)50万円の証拠金で20倍のレバレッジをかけて10万ドルを売買し、5銭の利益を確定させても儲けは、たったの5000円である。

負けるリスクが大きいのに、短期売買でチマチマと稼いでも割に合わない。ここで思考の切り替えが必要になる。長期投資への判断だ。

長期投資と言っても、ひとつの取引を何年も持ち続けるということでない。利益目標を数年後に据えた計画的な投資を行うということだ。スワップが入り続ける通貨を所有し続けることは可能だが、含み益が絵に描いた餅になっては仕方がない。利益を確実に自分のものにしつつ、時にはスワップを支払いながらも売り持ちしたほうが良い時もある。

一つひとつの取引には、もちろん損切りもある。「勝ち続ける」とは利益を積み重ね続けるということだが、実際、100%の勝率は不可能に近い。

大事なことは、相場の本流を捉えて、できるだけ感情にまどわされず、なかば機械的に取引できる環境と方針を整えておくことだ。プロでもアマチュアでも相場における最大の敵は「感情」である。

人間、勝っても負けても、欲や不安に悩む生き物である。かつて「相場は心理ゲームに過ぎない」とも言われていた。感情を排除し、高度な金融工学を駆使した取引に世界の名だたる機関投資家が巨額の投資を続けている理由である。私たち個人にはとうてい無理な世界だ。しかし、中長期的な相場の本流は相当な確度で捉えることはできる。

為替の世界は銀行間の24時間相対取引が原則であるため、取引時間が制限されている取引所取引である株式や先物取引等よりも、はるかに利便性の高い注文方法やリスク管理方法が多い。一定期間に実績を強く求められる高度な金融工学はプロにまかせておけばよいのである。

これからのFX取引では、低いレバレッジのもと、中長期的な運用を心がけることで安定的な実績を積み上げやすくなる。レバレッジ規制は来夏に迫った。規制後を想定した実際の運用は、FX業者のみならず、投資家も、もはや今年度内には対応できるようにしておかなければならないのだ。

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筆者紹介

相葉 斉 Hitoshi Aiba
1999年のFX黎明期より業界に従事。顧客の資産保全を追求し、円だけではなく外貨で預ける証拠金も保全する国内初、業界最高水準のFX信託保全スキーム「トラスト アカウント プロテクション®」を導入。現在、マネースクウェア・ジャパン 代表取締役副社長。
http://www.m2j.co.jp/

『果報を寝て待つFX』 (九々井 怜著)

 

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