大人の人生マニュアル

(2010/05/10)
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1月23日、土曜日。テレビ朝日での「TVタックル」収録中、突然私は三重苦に襲われた。

まず偏頭痛がきてから、キーンと耳鳴りがして右耳が聞こえづらくなった。さらに、(これは初めての体験だったので非常に焦ったのだが)左と右の目の焦点が合わない。ビートたけしさんや大竹まことさんの顔が歪んで観える。ちょうど、度の合わないメガネをかけているような感じだ。

評論家の宮崎哲弥さんが質問してくる。あと1時間以上ある。番組収録中に倒れたら、とんでもなく格好悪い。どうしよう!……目の前に出された水をがぶ飲みしてみる……変化はない。

真っ先に考えたのは、脳梗塞や脳血栓など、脳血管系の病気が遂に来たか、というリスクだった。

もともと私は遺伝性の高脂血症で、痩せているのに、コレステロールは300-500、中性脂肪も250-300くらい。20代の頃から、どなたかに分けてあげたいくらいある。

ほんとうは、大好きな「ラーメン&餃子」や「焼き肉」、「ハンバーガー」の類いを控えなければならないのだろうが、一度、30代の時に徹底的に気にしてみたら、体重が更に減って元気がなくなってしまい、諦めた。

それ以来、家族にも、自分が亡くなるとすれば、ガンや心臓病ではなく脳血管系で突然バッタリだからね、とは言ってきた。

だから、いよいよ迎えが来たかと思ったのだ。
番組をなんとか乗り切り、日曜日は安静にしていたのだが、頭痛が取れない。腕のいい針灸師を喚んでも、まだ首筋に痛みが残る。
翌週、すぐに医大の脳外科に行った。

CTには異常なく、血圧が一時的に上がったせいではないか、という。
政治家同士の不毛な鍔迫り合いに苛立ち、「イデオロギー論は、いい加減にしてくれません!」とキレたのは確かなのだが(笑)。

その後も、しばらく、30歳の時にかかった「メニエル」のように、フラフラする症状が続いた。
耳鼻科に行っても、整体に行っても、どうもはっきりしない。

結局、整形外科でとった首のレントゲンで、「頸椎症」と診断された。
頸椎の第4と第5、第5と第6の間に問題があるのだ。
「治ることはありません」とはっきり言われた(苦笑)。

子どものころから姿勢の悪さはたびたび指摘されてきた。いわゆる猫背なのだ。

加えて、目が悪いから(裸眼視力は両目でも0・1以下)自然、首が前に出てしまう。さらにパソコンに向かって原稿を書いているこの瞬間も、ふと気づけば首に負担がかかる姿勢になっている。これじゃあ、しゃあないなあ、と思う。

上手に付き合っていくしかない。

それ以来、友人と酒を飲み交わす機会には、「オレが突然倒れてヘンなイビキかいてたら、救急車で女子医大の脳外科ね」と、主治医の名まで乾杯の前に伝えるようにしている。

以前より付き合いが悪くても、みんな笑って許してくれる。

→次のページでは病気との付き合い方をお教えします。

筆者紹介

藤原和博 Kazuhiro Fujihara
前杉並区立和田中学校校長
大阪府知事特別顧問
東京学芸大学客員教授

1955年生まれ。東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。2003年4月より、都内では義務教育初の民間人校長として、前杉並区立和田中学校校長に就任。現在は、橋本大阪府知事より教育部門の特別顧問を委託され、大阪の小中高の活性化と学力アップに力を貸している。『「ビミョーな未来」をどう生きるか』『新しい道徳』(ちくまプリマー新書)、『校長先生になろう!』(日経BP社)など著書多数。
http://www.yononaka.net

『35歳の教科書』 (藤原和博著)

 

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