大人の人生マニュアル

(2010/01/24)
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マイケル・ジャクソンの手袋がニューヨークのハードロックカフェで競売にかけられ、香港のビジネスマンに3000万円強で落札されたという(AP通信、朝日新聞)。ヒット曲「ビリー・ジーン」を歌いながら、あの流れるようなバックステップ「ムーンウォーク」を最初に披露した時に着けていた一品。白いゴルフ用の手袋に模造ダイヤを施したものだそうだ。

さて、あなたがもしマイケルジャクソンのファンだとしたら、そして、是非あなたに落札してもらいたいとオークションの主催者が依頼してきたとしたら、いったい、いくらの値段をつけるだろうか?

生活必需品ではない、嗜好品の値段についていえることは、「自分の興味の無いものの価値はゼロ。だから値段はつかないし、むしろ、お金を払うから引き取ってといわれてもイヤ!」ということ。逆に、「興味のある人にとっては、それぞれの思い入れの強さと資力の関数で値段が決まる。しかも、複数の買い手がいる場合は、往々にして値段が競り上がる」ということだろう。

「円」や「ドル」同様、「金」や「ダイヤ」のようにマーケットが国際化していて常に売り買いされる市場では、一般の人が売り買いする基準となる「相場」が成立する。だから、一度買ったものは、相場前後の値段で必ず売れる。

ところが、その他の希少品の世界では、必ずしもそうはいかない。

「絵画」や「時計」や「その他貴金属」、「ヴィンテージワイン」や「ヴィンテージカー」、さらには「アンティーク小物」や「アンティーク家具」などでは、ネット上のオークションを通したとしても、極めて個人的、地域限定的で、カテゴリー別の個別取引になる。

買った値段で売れるとは限らないし、しばらくすると、あなた自身が付与する「思い込み値段」は無視されて、大勢の人々にとってなんの価値も無くなることも珍しくない。

「あなたの思い入れと資力」×「(同時期にたまたま同じ関心を持つ)他者の思い入れと資力」が値段を決するからだ。

世界的なオークション会社「サザビーズ」や「クリスティーズ」が取り扱うような貴族や富裕層の間でだいたいの相場観が共有されている絵画では、世界中の美術館やコレクターを含め、買い手のマーケットが常に存在するから価値は比較的安定する。イザという時の転売も視野に入れて、資産として持つこともできるだろう。

では、コレクターではない普通の人々が絵画とどう付き合えばいいか、私自身の経験から振り返ってみよう。

筆者紹介

藤原和博 Kazuhiro Fujihara
前杉並区立和田中学校校長
大阪府知事特別顧問
東京学芸大学客員教授

1955年生まれ。東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。2003年4月より、都内では義務教育初の民間人校長として、前杉並区立和田中学校校長に就任。現在は、橋本大阪府知事より教育部門の特別顧問を委託され、大阪の小中高の活性化と学力アップに力を貸している。『「ビミョーな未来」をどう生きるか』『新しい道徳』(ちくまプリマー新書)、『校長先生になろう!』(日経BP社)など著書多数。
http://www.yononaka.net

『35歳の教科書』 (藤原和博著)

 

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