大人の人生マニュアル

(2010/04/10)
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3月11日、婚活イベントを主催した。
早い話が、お見合いの仲人役を買って出たのだ。

しかも、男女40人ずつ、計80名の参加者で。
しかも、しかも、真っ暗闇の中で、8人一組ずつ、視覚障害者のガイドに導かれて80分間手探りで探検をする趣向でだ。

こんなキャッチフレーズで人を集めた。

闇は、会社名や役職を消してくれる。姿カタチを消してくれる。年齢さえも。

だから、あなたは、闇の中で「あなた」になる。
あなたの歴史がつむいできた物語だけで、交流するダイアローグ。

闇の中で、名刺を出す者はいない。ブランドも、ジュエリーも、
あなたを飾り立てていた、いっさいのものが死ぬ。
そして「あなた」の物語だけが、爽やかに、生き返る。

我ながら、センスのあるコピーだったと自画自賛している(笑)。

場所は、青山キラー通りに面する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」スタジオ。

DIDは10年前から暗闇イベントの活動を展開しており、お台場、仙台メディアテーク、ドイツ文化会館など全国の都市で興行をしてきたが、1年前から青山に常設の会場を持った。
ヨーロッパで起こったムーブメントなのだが、日本でもすでに6万人の人々がDIDでの暗闇体験をしている(通常40分の体験で5000円からの入場料)。

手先も見えない闇のなかで(あの非常口の誘導灯の明かりもないから、しばらくして目が慣れてきて見えるということもない)、まず、みんなでコタツに入り、ミカンを剥いて食べる共有体験をする。

カラダが見えないということは自分自身を確認できない。それがけっこう恐ろしい。存在を確認するものは、自分の声と一緒に巡っているメンバーの気配だけ。

だから、ミカンを廻して食べるだけでも、強い連帯感が生まれる。
たとえば、夜中に、どこか怖いところ(たとえばお墓)で一緒に仕事をするようなもので、瞬時にチームビルディングができてしまう。

プログラムの最後に、暗闇バーでお酒を飲む。盲目のバーテンダーに小銭を払ってビールやワインをいただくのだ。

最近は、企業が社員研修に使う例も多い。
そこで、この効果を、婚活中の男女にも使ってみようと考えた。

個人的には、この日が妻の誕生日でもあったから、仲間を集めてイベントに仕立てた。じつは我が家は、子どもが大きくなるまでは、と結婚式の仲人を断り続けていた。でも、長男が無事「成人式」を迎えたこともあり、一気に世の中に恩返しをしようという意図もあった。

我が家の愛犬「ハッピー」の故郷である長野県川上村の役場と農家からも数人の参加者が加わった。村長が前から、レタス農家の嫁探しに積極的なのだ。

暗闇効果もあったのだろう。
結局、80名のうち、約10組が即日カップルになった(安堵の微笑)。

ナント、4人に一人の確率である。

→次のページでは、なぜヒトは30代以上になると、結婚相手を見つけにくくなってしまうのか、その理由に迫ります!

筆者紹介

藤原和博 Kazuhiro Fujihara
前杉並区立和田中学校校長
大阪府知事特別顧問
東京学芸大学客員教授

1955年生まれ。東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。2003年4月より、都内では義務教育初の民間人校長として、前杉並区立和田中学校校長に就任。現在は、橋本大阪府知事より教育部門の特別顧問を委託され、大阪の小中高の活性化と学力アップに力を貸している。『「ビミョーな未来」をどう生きるか』『新しい道徳』(ちくまプリマー新書)、『校長先生になろう!』(日経BP社)など著書多数。
http://www.yononaka.net

『35歳の教科書』 (藤原和博著)

 

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