最初に、情報の扱いに長けた人を「情報通」と呼んで、その特徴を、(1)価値ある情報が入るネットワークを持ち、(2)ヒアリング能力が高く、(3)自分なりの情報として情報編集しプレゼンできる人、と定義した。
では、そんなにたくさん覚えられないから、最も大事なポイントを一つだけ選んでくれといわれたら、あなたならどのポイントを選ぶだろう。
私なら「ヒアリング能力」を選ぶ。
聞き上手な人は、自然ネットワークが豊かに広がるだろうし、編集するための引き出しが多くなるからだ。さらに、相手の考え方や好み、持ち駒が手に取るように分かるから、プレゼンによって相手を動機づけることも容易だろう。
動機づけの「ツボ」を聞き出す技術である。
ところが、どっこい、私がたくさんの人と邂逅して思うのは、「聞き上手」な人が少ない事実だ。
相手が納得したり、動機づけられたりする「話のツボ」を確かめるには、相手のことを(仕事だけでなく、プライベートなことまで)聴きまくるのが大事。
なのに、最初の出会いで、これをやらない人がいかに多いことか!
ホントに、もったいないことだと思う。
ちなみに、私が大阪府の教育改革に関わったこの2年の間に、25市町村、55校の学校現場を廻ったのだが、学校長の中で、私になんらかの質問をしてきた人物はほんの数人だった。「聞き上手」が10人に一人もいなかったということだ。
「学ぶ」という言葉のおおもとは、「まねぶ」=真似る、という言葉だ。「まねぶ」ためにはヒアリングが基本だろう。学びの殿堂である学校のトップが、人から学ぼう、真似ようとしていない事実そのものが日本の教育現場の病理なのである。
もうひとつ。この1年で私が新しく出会った仕事の関係者はゆうに100人を超える。編集者や講演の依頼者やビジネスパーソンなど、先方から会いたいといってきて、カフェなどで初めてミーティングするシチェーションが多い。
その中に、私のホームページ「よのなかnet」をきちっと参照してから会いに来ている人は3割。本を1冊でも読んでから来ている人は1割というところか。
ところが、ホームページにも載っている、私が独自に諏訪の時計師たちと開発した腕時計「japan」の話題を出すものは、ほぼ皆無。
当日、私自身がその腕時計をしているにもかかわらず、である。
なぜ、腕時計のこと聴かないの?
情報の世界には残念ながら、教えられない「センス」のようなものが存在する。
●次回は「病気」をお届けします。
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藤原和博 Kazuhiro Fujihara


