30代、40代までは「形態安定」の1000円シャツを使い回した。
2着で1000円だった時も。駅売り、でよく買った。
ワイシャツは、営業の仕事にとっては完全に消耗品だからだ。
40代の後半、校長になって、ネクタイを毎日はしなくなった。
そこから、ボタンダウン・シャツの時代が始まる。
当初は、あいかわらず1000円が相場。
和田中が有名になってTV出演や講演が多くなると、同じボタンダウンでも、ちょっとオシャレなものをという気になった。
それでも2万も3万もするワイシャツをデパートで買うのは悔しいから、営業マンのプライドにかけて(笑)、ディスカウントショップで5000円くらいの襟高のシャツを10着ほど買ってきて着回している。
テニスで顔が焼けているので、シャツもピンクが似合うことに気付いてから、集中して買った。5着くらい、ピンクのオンパレードだ。
和田中の3年生に「入学してから3年間に、校長が朝礼で語ったり[よのなか]科の授業で教えたことのうち、最も印象に残っていることを自由筆記せよ」という課題を出したことがあったのだが、女子生徒に「ピンクのシャツ」と書かれたときには参った(苦笑)。
ちょっとしたことだが、ワイシャツは、家で洗濯してアイロンをかけるのではなく、クリーニング屋に頼んでいつもピシッとした状態で届けてもらうようにしている。クリーニングに投資することで、時間を買い、手間を省くためだ。
ワイシャツでも、ドレスシャツをたまに衝動買いする。
パーティーの機会は多くはないが、たまには晴れやかな気分で着たいからだ。
最近のお気に入りは、小淵沢にテニスに行ったとき寄った「リゾートアウトレット八ヶ岳」の「SHIRT STATION(シャツステーション)」でもとめたデュエポットーニ(襟のボタンが2つ)のボタンダウン。「LOUIS & CLERK」ブランドなのだが、日本製で、襟足とカフス裏に着物の生地を使った和柄のデザインが印象的。すべてのボタンが違うデザインなのも洒落ている。アウトレットでは7000円くらいだったと記憶している。
もう一つ、オシャレなシャツは、藤巻幸夫さんの店「CRUM」で買った。
藤巻さんとPHPの雑誌で対談した記念だ。この店は西麻布の青山墓地の南側にあって、シャツとトートバッグだけを売っている。ピンクの綿生地なのだが、袖のところに、やはり和柄の藍色のデザインが施されていたのが気に入った。むかし、英国紳士たちがパブに飲みに来た際、壁のフックにシャツを掛けたハンガーの名残が、背中の部分に縫い込んである。
誰かと何かプロジェクトをご一緒した記念に「じゃあ、想い出創りましょうか?」と誘って、買い物をすることも多い。のちのちに語り継ぐ「物語」のための衝動買いだ。ワイシャツならいくらでも使うから、無駄にはならないだろう。
ネクタイも、よく「想い出づくり」のために買った。
海外旅行や出張のたびに、免税品店で1回に1本、自分のためのお土産として。
ブランドものは何十本も締めてみたが、なぜか「エルメス」の締め心地が一番良かった。今はどうか知らないが、その道の通によると、表面に亜鉛加工をしてるから、締めた後に両端を引っ張った時でも捩じれないで表面が上を向くでしょ、と説明されたことがある。ホントかなあ?
また、柄も日本人に合う細かい模様で、色合いも和やかだ。逆に、ちょっとキバって、派手な色で大きな柄が踊っているものを買ってしまうと、帰ってきてから「ヤベエ、2度と締められないな」となることが多かった。ラテン系のチョイ悪オヤジには似合うのだろうが(苦笑)。
いまでも、「エルメス」のクリームイエロー系の細かな花柄模様とオレンジ系のものはとってある。紺やチャコールグレーのスーツには明るい色のタイが似合う。
日本市場を狙って、成功していた「エルメス」の真似をしたのかどうかは知らないが、ある時期から「フェラガモ」のデザインが変わった。前はラテン系の深彫り顔にしか似合わない強烈な柄を特徴としていたのだが、「エルメス」と同系の色味で、細かい動物や花の絵をパターンとして配するデザインのものを出してきた。
私がハワイへのJALの機上で買ったのは、そうした一品。白地に黄色の小さなキリンの連続模様で可愛い。
同じく、機上で買ったネクタイでは、ANAオリジナルの「GEORGES RECH HOMME」で、玖珠んだ金地にタペストリー模様のものは評判よかった。紺のスーツによく似合うので、TV出演や結婚式にもよくしていった。
和田中で5年目の最後の卒業式も、金のタイで決めたように記憶している。
●次回は「着るモノと持つモノ」<持つモノ編>をお送りします。
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藤原和博 Kazuhiro Fujihara


