(2011/10/10)

ここまで入社希望者、取引先に好感をもたれる、社員が定着するオフィスの見方、選び方について述べてきました。最終回の今回は経営の姿勢を示し、社員のやる気を企業の成長につなげるオフィス作りについて考えてみたいと思います。
「大事にされている」という思いが
良い仕事につながる
私はオフィスとは経営の考え方そのものであると思っています。どのようなオフィスを作るかで、社員は経営者が自分たちをどう考えているのか、自社の将来をどのように描いているかを読み取ります。たとえ、オフィスの椅子ひとつからでも社員は経営者の社員像を感じます。いくら、口で経営者も社員も平等と言っていたとしても、経営者がテレビドラマに出てくるような社長室で革張りのソファにふんぞり返っていたとしたら、誰がその言葉を信じるでしょう。逆に、言うこととやることの違う、信用できない経営者と思われるはずです。
当社では社長である私も社員も、そしてパートタイマーですら全員が同じ15万円の椅子に座って仕事をしています。この価格を高いと思う人もいるでしょう。しかし、私は社員一人ひとりを尊重する自分の考えを毎日肌身に感じてもらうために、この椅子を選びました。人は自分が大事にされていることが分かれば、その期待に応えようとします。それが企業の成長への原動力になると思います。
もちろん、椅子だけでなく、オフィスそのものの選び方やレイアウトも経営者の考え、将来像を社員に伝えるものです。成長を望む企業であれば、経営者は現状に合わせるのではなく、自分がイメージする成長像に合わせてオフィスを選ぶべきです。移転でオフィスのグレード、広さ、快適性などが上がると、社員はそれに合わせて高いレベルの仕事をしようと思うようになり、投資に見合った効果が出てくると思います。特に20代、30代の社員はオフィスのレベルと自社のレベルをイコールと考える傾向があるため、家賃が2倍、3倍になっても、見合った結果を出してくれるはずです。
仕事もオフィスも
「細部に神宿る」
もうひとつ、企業を成長させていくためには日々の積み重ねもポイントになってくると思います。仕事で信用を得るためには、日常の些細な作業にも手を抜かない誠実な姿勢が必要ですが、オフィスにもそうしたたゆまざる努力が必要です。
オフィスの場合の日々の積み重ねは、清掃やメンテナンスです。いずれも管理会社が担当する部分で、基本的には任せておけば良いものですが、残念ながら、それではうまく行かない場合もあります。清掃のような単純作業は手を抜きたくなる人も少なくないのです。それをきちんと監視、コントロールできる管理会社でなければ、オフィスの清潔さは保たれません。具体的にはオフィスを選ぶ際、管理会社の担当者がどの程度の頻度で担当するビルを巡回しているかを聞いてみること。本来、オフィスビルの管理はテナント側の関知するところではありませんが、それが自社のイメージに関わってくるのであれば問題は別。確認の上で選ぶようにしたいところです。
オフィスが薄汚く、雑然としてくると、社員はそれでいいのかと思うようになります。だらだらと、効率の悪い仕事をしていても、経営者がそれを黙認しているのだと考えるようになり、やがてそれが当たり前だと思います。社員が、この会社ではこんな程度の仕事をしていればいいんだと思っているようでは、企業の成長は望めません。経営者はそんな状況に陥る前に、オフィスの状況に目を配り、社員たちの意識を高く保つ努力をしなくてはいけないと思います。
清掃にメンテナンス。至って地味な毎日の作業ですが、仕事もオフィスも細部に手を抜かないことが遠回りのように見えても成功への近道。「細部に神宿る」は仕事でもオフィス作りでも忘れてはならない言葉なのです。
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筆者紹介
佐々木泰樹 Taiju Sasaki |
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