資産形成はアパート事業にあり

(2009/12/10)
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前回に引き続き、物件の選び方についてお話をしたいと思います。前回、物件を紹介してくれる不動産会社の選定のポイント、物件の種類について書きました。今回は、一棟ものの収益物件を探すポイントについて見ていきたいと思います。

まず、物件選定にあたって重要なポイントは、「変えられるもの」と「変えられないもの」を区別して判断することです。具体的には、立地や日当たりなどにおいて、「購入後、もっと駅に近い場所に変えよう」とか、「隣の家を壊して日当たりを良くしよう」ということはできません。変えたくても変えられないものです。

一方、外壁の色やキッチンの種類というのは購入後お金をかけさえすれば、いくらでも変えられます。要は費用の問題です。ということは、物件の選定に当たっては、「変えられないもの」(立地や日当たり、一部屋あたりの広さ等)が、きちんと入居者が入る要件を満たしているかということが重要になります。例えば、20平米もいかない小さいワンルームで駅から徒歩30分の物件は、長期的に入居者を確保していくことは難しいという判断になるのです。

その「変えられないもの」の中でも特に重要なのが立地です。「不動産は立地が全て」というくらいです。では、立地の判断はどのように行うべきでしょうか? 基本的には2段階に分けて立地の判断を行うべきです。

1段階目は、マクロとしての立地判断です。マクロというのは、その不動産があるエリア(市であったり区であったり)における賃貸の需給バランスがとれているかどうかということです。例えば、エリアによってはすでに賃貸住宅が飽和状態で、需給のバランスが崩壊しているというエリアも出てきています。そのようなエリアに物件を取得するということは、強い逆風(アゲインスト)の中、ボールを打っていくようなものですので非常に厳しい事業展開を覚悟する必要があります。

2段階目は、「エリアの中でどのような立地なのか」ということを吟味する必要があります。不動産は非常に個別性が強いものです。世の中に二つとして同じものは存在しません。道路ひとつ、川ひとつ隔てるだけで大きく変わってきてしまいます。そのエリア(市や区)の中でどのような場所なのかは、きちんと把握しましょう。

では、賃貸需給のバランスはどのように見ていけばよいでしょうか?

これは、敷金と礼金の月数を見れば一目了然です。敷金と礼金を取れるということは需要がそれなりにあるということですし、逆に取れないということは、供給が多いため、オーナー側が妥協し、敷金も礼金もいらないといっている状況です。一般的に、関東エリアの中古物件であれば、敷金礼金がそれぞれ1カ月ずつというのが標準的です。都心部の需要の多いところでは、2カ月や3カ月という事例も見うけられますが、それらは例外的で全般的には、敷金や礼金は減っていく傾向にあります。

次に、物件を取得する際の利回りについてお話しましょう。アパート事業はあくまでも投資ですので、どれだけのリターンがあるかという観点が必須となります。そして、アパート事業は入ってくる家賃収入を目的にするため、利回りという基準で物件の数値判断をする必要があります。自分が住む住宅のように「土地が何坪、道路が南側、建物が素晴らしい」という基準で判断すべきではありません。

利回りは、もちろん高ければ高いほど投資効果が高いということですので、高い方が望ましいですが、ではどの基準が目安かといえば表面利回り10%がひとつの目安と考えればいいでしょう。これは、売買価格の9割程度の借り入れをおこし、毎月の返済を行って、さらに手元にキャッシュフローが残るための基準です。東京都心部において、なかなか10%というと物件は少ないかもしれませんが、最低でも9%の表面利回りはキープする必要があります。あくまでもアパート事業は、高く売ってもうけるというものではなく、毎月毎月のインカム(キャッシュフロー)を目的に行うものですので、利回りの低い物件はそもそもアパート事業にむかないということです。

しかし、東京都心部ではなかなか9%以上の物件もないのが事実です。基本的に地価の高いところほど利回りというのは低くなるという法則があります。当たり前ですが、埼玉の大宮と銀座ではその期待利回りは大きく違います。

すると、狙い目のエリアというのは、都心部から若干離れた、ある程度の人口がいて(入居率を高く確保できるところ)、利回りがとれるところということになります。関東圏でいえば、都内なら山手線の外側、都外では、埼玉・千葉・神奈川エリアというところでしょう。また、地方に行きすぎると今度は人口が少なくなりますので、入居率に問題が出てきます。ある程度入居率を維持できて、流動人口がいるところというのが条件です。

アパート事業の物件は「自分が住むための部屋を探す」目線を排除し、投資対象として物件を見ていくことで探すことができます。逆に自分が住みたいかどうかという基準で物件を探すと一向に見つからないということになります。重要なのは、自分が住みたいかどうかではなく、その物件が期待する利回りから逆算した家賃を取れるかどうか、そして安定した需要があるかどうかで判断するべきだからです。例えば、一部屋4万円のアパートには、ほとんどのアパート事業家は住みたくないでしょう。問題は自分が住みたいかどうかではなく、その部屋が4万円の家賃を将来にわたって取れるかどうかということです。

●次回はアパート事業の最重要項目である資金調達についてお話したいと思います。
 

筆者紹介

大谷義武 Yoshitake Ooya
1975年、埼玉県熊谷市生まれ。東京大学経済学部卒業後、三井不動産に入社。同社にて商業施設の開発・運営業務など最先端の不動産業務に携わる。2005年、同社退社後、「武蔵コーポレーション」を設立。以来、130棟、150億円の一棟ものアパート・マンションを販売。「インカムリッチ」を対象に資産形成のサポートを精力的に行っている。
http://www.musashi-corporation.com/

『「アパート事業」による資産形成入門』 (大谷義武著)


『空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』 (大谷義武・太田大作著)

 

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