(2009/07/24)
DAY 1×月×日(金)20:00 仕事終了後、成田空港へ。ハワイ島行きJO70便チェックイン 日本発のハワイ便はすべて夜出発し、現地到着は時差の関係で同日の午前中となる。そんな“ナイトフライト”の場合、到着後、“いかに快適に行動を開始するか”が旅のカギとなる。出発まで、あと1時間。あまり時間がないが着替え、シャワー、食事など、やるべきことを一つずつ進めていこう。 21:00 定時出発。機内にて就寝。食事はオールパス。 ○月×日(金) 09:40 コナ国際空港着到着。入国審査。 コナ空港にボーディング・ブリッジはなく、タラップを降りたら、そこはもうハワイだ。黄金色に輝く太陽、永遠に広がる青い空、頬をなでる心地よい風。透き通ったハワイの空気を胸一杯に吸い込んだ瞬間、体内が一気に浄化される。この地に「神」の存在を意識する瞬間だ。 11:00 空港内のヘリポートへ移動。 最初のプランは、ヘリコプターフライトによるハワイ探索。ヘリコプター会社にチェックイン早々、天候や飛行ルートについてレクチャーを受ける。パイロットは日本人のKOJI氏。1986年に単身NYへ渡り、99年、ヘリ免許を取得するため、ハワイ島へ移ったというユニークな経歴の持ち主。日本語がわかるスタッフ&サービスは大変ありがたい。 |
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11:20 ヘリコプターフライト。コナ空港→フアラライ山→マウナ・ケア(4205m)とマウナ・ロア(4169m)の中間地帯→キラウエア火山へ。 いよいよ、ヘリコプター離陸。コナ空港から東へ、高度を上げる。天候もよくフライト日和だ。フアラライ山を越える。上空から見る広大な溶岩大地は、マグマの成分の違いによりさまざまな色に彩られている。キャンバスに原色の絵の具をバケツごとまき散らしたような様相だ。 マウナ・ケア(4205m)とマウナ・ロア(4169m)の中間地帯を抜け、キラウエア火山へ。あちらこちらから噴煙が立ち上っている様子が、(火の女神ペレに失礼かもしれないが)箱根の大涌谷を彷彿させる。もちろん、迫力は雲泥の差だ。そしてキラウエア・カルデラ上空、ハレマウマウ火口からの勢いある噴煙。箱根とは格の違いを見せつけられる。海岸線に向かいヘリを飛ばす。いよいよ赤く煮えたぎった溶岩流がところどころに見える。溶岩の一部は森に流れ、火災を発生させている。シーサイドからは水蒸気爆発による巨大な白煙が立ち上っている。火山表面に生じている裂け目からは、怒り狂った真っ赤なマグマが噴き上がる。熱気がヘリまで伝わる。 現代社会からオフラインされた光景。まさに46億年前の地球誕生の瞬間に立会っているかのようだ。古代人が自然の驚異に畏怖の念を抱き、そこに神の存在を重ね合わせた理由がわかるような気がする。地球は生きている。人類は生かされている。 12:20 溶岩流出により大半の住宅が焼失した陸の孤島へ着陸。散策。 ロイヤルガーデンに着陸。もともと住宅分譲地であった場所だが、87年の溶岩流出により大半の住宅が焼失、さらに2008年の溶岩流出で、街とのルートが遮断され陸の孤島となる。そんな場所で唯一生活する人物がいた。「LAVA HOUSE」というB&Bを経営するジャック氏だ。 着陸後、ジャック氏の案内で08年の溶岩流出現場を訪れる。人がほとんど足を踏み入れておらず、そこには、時間が止まってしまったような風景が広がる。ふっくらと幾重にも折り重なる絹織物、海岸に静かに打ち寄せるさざ波、細胞分裂を繰り返し増大する巨神兵。これらが一面に青黒く、鈍く光る。まさに、生命の原点ともいえる神秘的な世界に身を委ね、魂が吸い込まれていくのを感じた。呼吸が止まる気がした。 13:00 ヘリコプター再搭乗。ヒロ方面→ワイピオ渓谷→ワイマヌ渓谷→サウスコハラコースト→コナ国際空港。 ロイヤルガーデン出発。 ジャック氏に別れを告げ、ヘリに乗り込む。ヒロ方面から海岸沿いに北西へ飛ぶ。上空から見渡すハワイ島は、その高度により熱帯雨林、サバンナ、砂漠など地球上に存在するあらゆる自然環境が凝縮されている。ワイピオ渓谷へ差し掛かる。このあたりは、古代より精霊が宿り、特別な霊力で守られているとされるエリア。窓から流れ込む空気の色が変わる。緑に包まれた断崖絶壁からまっすぐに海へと滑る滝がいくつも見える。普段見慣れないプリミティブな風景。しかし、不思議とどこか懐かしく感じる。そして、欝蒼としたワイマヌ渓谷の細く切り立った山中にヘリが吸いこまれる。決して地上からは立ち入れない太古より不変のエリア。いくつもの名もない荘厳な滝が目の前をゆっくりと滑る。緑の谷をヘリは進む。そして裂け目から光が差し込む一点を目指しスピードを上げる。光の点を突破した瞬間、あたり一面が真っ白にスパークする。目が眩む。ワイマヌを南へ抜けると、あたり一面に草原が広がる。ここからヘリは、サウスコハラコーストを海岸沿いに進みコナ国際空港へ向かう。約2時間半、上空からのハワイ島巡りはそろそろ終わりに近づく。短い時間だが、宇宙の中の地球を感じさせる力、この島ほど地球上でエネルギーの大きい場所があるだろうか。偉大なる母の洗礼を受け体が少し熱を帯びている。 14:20 マウナ・ケア登頂が唯一可能なレンタカー会社「HARPER」で車を借りる。一旦ホテルへ。 レンタカーピックアップ。 レンタカー会社の事務所だと、まるで気づかない“質素”なプレハブ事務所へ到着。ローカルの女性スタッフがにっこり笑い「首を長くして待っていたわよ」と、柔らかな口調で話し始める。ここで唯一予約できた業務用の15人乗りバンとご対面。でかすぎるぜ。 15:30 シェラトン・ケアウホウチェックイン。マウナ・ケアを目指しすぐに出発。 スーツケースからパーカーとダウンを引っ張り出し、暴風極寒のマウナ・ケア登頂に備える。オーシャンフロントの部屋にアップグレードされるも、寛ぐ時間はない。すぐにマウナ・ケアに向け出発。時間があれば、コナ・コーヒーベルトと呼ばれる180号線や11号線沿いにあるコーヒー農園に立ち寄り、ピーベリーを入手しようと目論んでいたが断念。ちなみに、ピーベリーはコナ・コーヒーの中でも収穫量全体の4%程度しか取れない希少な豆。コーヒー好きには堪らない一杯だ。 17時00分 マウナ・ケアに向け190号線からサドル・ロードへ入る。 暫く幅の狭い、舗装が不十分な道が続く。アップダウンのきついワインディングロードを15人乗りのバンが行く。サンセットまであまり時間がない。慣れない道を時速55マイルで走る。車幅が広いため、車はところどころで舗装部分からはみ出す。その都度車内に大激震が走りケツが宙に浮く。左手にマウナ・ケアが近づいてくる。ブラッドショーの軍施設を通過する。登山道まであと少しだ。 18:00 オニヅカビジターセンター(2800m)到着。高山病予防のため暫し休息。 サドル・ロードを左折、マウナ・ケアへの登山道に入る。そして登頂する者が必ず立ち寄る、オニズカビジターセンターに到着する。センター名は、86年に起きたスペースシャトル「チャレンジャー」の事故で亡くなったハワイ島出身の日系人、オニズカ大佐に因んだもの。ここでは天体に関する情報や食料、防寒具等を入手できる。緊張が解れたのか、突如空腹感に襲われる。そういえばハワイ島に来て以来何も食べていない。厳密に言うと成田のJALラウンジでカレーを食べて以来だ。チョコレートバー数本と水を入手する。そして高山病にならないよう体調を整える。外はかなり冷え込んでいる。ダウンを着込む。ここからは急勾配で未舗装の悪路を駆け上る。 18:50 マウナ・ケア(4205m)山頂へ到着。朱に染まる天空の大地を眺める。 一気に高度を上げながら15人乗りのバンは走る。頂上付近、ドーム型をした天体観測所群が視界に入る。生命を拒む荒涼とした山肌。ハリケーンのような強風の中、上下に跳ねながらエンジンを唸らせ突き進む。ついに4,205m、マウナ・ケア頂上。間に合った。日没が迫る。あたりは幻想的な光景に包まれる。夕陽が天へ沈む。朱に染まる天空の大地、太古の風が駆け抜ける。永遠の空が青く宇宙と重なり、遥か時をさかのぼる。137億年前、原始の宇宙がそこにはあった。15人乗りのバンも、いつしかスペースシップの風情、月面着陸成功の趣だ。 |
20:00 マウナ・ケア山頂で星空観測。
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暗黒の闇と化した地上に対し、頭上には満天の星が光を降りそそぐ。どれも、広大な空を所狭しと輝いている。 強烈に風が強く、寒い。星を観たくても、長時間、外にはいられない。小刻みに出入りを繰り返すうちに、少しもうろうとしてくる。ろれつもうまく回らない。血中酸素濃度が明らかに低下してきている。生あくびが出る。悲しくもないのに涙が出る。少し眠くなってきた。 しかし、オニヅカビジターセンターでスタッフに、「山頂では絶対に車内で寝てはいけない」と強く言われたことを思い出す。「なぜだ?」聞き返したところ、「永遠に目が覚めないから」と言われた。 車はいずれガス欠する。車内の温度も氷点下へ下がっていくはず。酸素は薄い。こんなところで眠り続けるとどうなるか……。 なるほど。 恐ろしくなり歌を唄ってごまかす。三木道山のナンバーだ。 20:30 オニヅカビジターセンター到着。巨大望遠鏡で天体観測。土星がデカい。 チョコレートバーをかじりながら三木道三を口ずさんでいると、誰かがドアをノックする。レンジャーだ。気温はさらに低下し、風も一層強くなってきた。これ以上の滞在は危険なので下山を急ぐよう忠告される。確かに身をもって危険を感じる。三木道三の曲もさびの部分しか知らない。もう十分歌った。下山前にケータイで時刻を確認すると、何と驚いたことにアンテナが3本立っている。宇宙人と通話できるようになっている。途中、オニヅカビジターセンターの望遠鏡で土星を観る。フラフープを回す土星がくっきりと大きく見える。 21:15 下山。夜のサドルロードをひたすら走る。 23:00 ホテル到着。ベッドへ倒れこむ。 スペースマウンテンのような夜のサドル・ロードを、体感速度時速80マイルで走る。 190号線、11号線に入ると道の状態はいいがその分単調だ。半分白目を剥きながらゾンビの形相で運転する。這ってホテルに到着する。街から離れたリゾートのため、周りに何もなく、この時間ホテルのスタッフは誰もいない。ヴァレーも終了しており、とりあえず隅に止めておく。部屋に戻り空腹を満たそうにもミニバーすらない。部屋の前が海なので貝でもいないかと本気で考える。転落して臨終してもかっこ悪いので諦める。明日も早い。 |



