飲食店独立開業の心得

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開店当初の集客は期待できません。皆さん焦り、悩むことでしょう。でも、そんなときこそ逆転の発想です。

時間があるのですから、色々な工夫をすればいいのです。

例えば店舗カードをつくり、街中で配ることもお金を掛けずにできる集客のひとつです。矢場とんでも実施していますが、社員はなかなか受け取ってもらえないと肩を落とします。当たり前です。

自分自身を考えてみてください。町を歩いていて、配られるものをいちいち受け取りますか? たぶん受け取っていないはず。それを受け取ってもらうには一工夫が必要です。

そうなると、誰もが何かサービスをつけなければと安直に考えがちです。例えば、カードを持ってきた人にデザートをサービスする、あるいは割引をする。

しかし、そのカードを持ってきた人は、本当にあなたのお店に来たかったのでしょうか。実際はサービスが目的ですから、誰が配っていても、どのお店でもよかったはずです。それよりも、配った人や店の力でお客様を呼べる工夫をすることのほうが大切なのです。

そのためには、やはり声を掛けることです。

何もサービスはなくても、笑顔で
「私がお待ちしています。是非来てください!」
「こんな楽しいお店です!」
「●●がすごく美味しいです!」

ということ、をきちんと伝えられれば、その人やお店の魅力でお客様は必ず足を運んでくださいます。

また、集客のひとつとして、サプライズのイベントを設けることも効果的です。定番では、お誕生日のプレゼント。何かモノをサービスするのもいいですが、それよりもっと心に残るものを贈りたいものです。「Happy Birthday」の歌をスタッフで歌う、趣味で楽器を演奏できる人がいれば、生演奏のプレゼントも気持ちの伝わるプレゼントです。

矢場とんでは、以前クリスマスイブに訪れたカップルのお客様にグラスワインのサービスをしていました。そのきっかけは、クリスマスという特別な日に、矢場とんを選んで頂けたということに対する嬉しさを何か形で表したいと考えたことでした。狙ったわけではなかったですが、そういったサプライズが徐々にお客様に浸透し、若いカップルに大勢訪れていただける店になりました。

最近は車で来店する方も多いため、手づくりクッキーも用意し、お車のお客様にはクッキーをお渡ししています。お客様への感謝の気持ちを素直に表しただけのワインプレゼントでしたが、ワインもみそかつに合うという発想につながり、その後ハウスワインの開発に発展して行きました。

このように、モノでサービスするのではなく、お客様に対する嬉しい気持ちを、自分たちが一工夫し、努力することで伝えることが大切です。その心に、お客様は共感し喜んでいただけるのです。

そう考えると色々工夫できることはありませんか? こうした工夫も最初はなかなか効果が出ないものです。だからといって、すぐやめてしまわず、常に続けていくことが大切です。

そうすればやがて大きな花を咲かせるときが訪れるはずです。

●次回の最終回では「幸せな開業」についてお話したいと思います。

筆者紹介

鈴木純子 Junko Suzuki
1947年、愛知県名古屋市生まれ。現在、名古屋と東京を中心に展開する「みそかつ矢場とん」女将。サラリーマンの両親を持つ、ごく普通の家庭で育った「あたりまえ」の感覚をベースに、家族の助けを得て、徐々に店舗を改革。家族経営の典型であった同店を、年商17億円の企業に成長させる。
http://www.yabaton.com/

『脱・家族経営の心得』 (藤沢久美著)

 

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